資金繰り対策
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誰も教えてくれなかった「建設業の資金繰り対策」
建設業を経営していく上で、お金のことで悩まない社長さんはいません。
「元請けは、入金日にちゃんと支払ってくれるのか」
「手形・小切手での支払いも検討しなきゃダメか」
「工期が長く、立て替え費用が心配だ」などなど……。
こうした事態にはさまざまな理由がありますが、その一つとして建設業に特有の複雑な資金繰りがあります。
他業種と異なるところとして、以下の点が挙げられます。
- 受注・施工してから、入金(取下げ)までの期間が長い。
- そのため、資材・人件費などを立替払いをすることが多い。
- 元請けとの力関係により、利益を十分に確保できないこともある。
- 天候・発注者の意向などで、実行予算の見直しも起こりうる。
- 社員の労災・下請けの倒産の件数が、比較的高い。
近年はアベノミクス効果もあり、民間の建設需要は回復しつつあります。
東京五輪・中央リニア新幹線・中部横断自動車道など、公共工事も増加に転じました。
しかし、長期的には少子高齢化や消費増税を見据える必要があり、建設業者は、安定した資金繰り対策を講じなければなりません。
資金繰りのキホン
建設業の資金繰りを考えたとき、最も避けなければならない事態があります。
それは、手元の現金がなくなること……すなわち、資金ショートです。
ときどき、「借金はしたくない」とおっしゃる社長さんをお見かけします。
「倒産するのは借金があるからだ」
「親の代から借金はするなと言われている」……。
もちろん、各社の経営方針がありますので、それを尊重はします。
……が、ビジネスにおいて「借金=悪」と考えるのは、間違いです。
会社を経営していく上で、最悪の事態は「倒産」ですよね。
では、会社がどうなったときに倒産に陥るのでしょうか?
それは、「社員への給料・取引先への代金が支払えなくなったとき」ですよね。
社員は退職していきますし、元請け・下請けも取引してくれなくなります。
借金があるからといって、倒産はしません。
手持ちの現金がなくなると、倒産するのです。
受注量が増加しても、お金を支払えなければ倒産します(黒字倒産)。
つまり、「現金がなくなること=悪」なのです。
逆に言えば、手元の現金があれば資金繰りは安定します。
その意味で、銀行からの借金、すなわち融資は積極的に受けるべきと言えます。
なぜなら、以下のようなメリットがあるからです。
- 手元の現金が潤沢になり、支払いがスムーズにできる。
- 経営者が資金繰りに悩むことなく、安心して本業に集中できる。
- 定期的に銀行と接触することで、不測の事態にも備えることができる。
資金繰りが安定することで、先行投資も可能になります。
社員に研修を受けさせたり、広告を掲載したり、新しい設備を導入したり……。
そうして結果的に受注量が増加すれば、たかが1~3%の利子など安いものです。
お金が回れば、すべて上手くいくのです。
融資のポイント
では、どのようにして借りたらいいのでしょうか?
先に結論を言えば、『借りられるときに、できるだけ多く長く借りろ!』です。
建設業に関する融資は、「設備資金」と「運転資金」の2つに分かれます。
「設備資金」は、新しい建設機械などを導入するための資金です。
「運転資金」は、経営に必要な資金のことで、さらに2つに分かれます。
- 「つなぎ資金」……各々の工事代金が入金されるまでの資材費・外注費に充てる。
- 「営業資金」……営業活動や宣伝広告費、従業員への給料支払いに充てる。
それぞれについて、借り入れる際のポイントがありますが割愛します。
すべてにおいて大事なのは、「多く、長く借りること」です。
「必要になったときだけ借りればよいじゃないか」と言う方もいます。
……そのとき、銀行は本当に貸してくれますか?
融資はATMではないのです。
状況が悪くなれば融資を断られることもあり得ます。
「借りられるとき」に、借りられるだけ借りる。
「多く長く」借りて、手元のお金に余裕を作る。
借りたお金を先行投資して、利益を上げる。
これが建設業の資金繰りの大原則です。
銀行との付き合い方
そして、付き合う銀行についても、よく考える必要があります。
メガバンク・地方銀行・信用金庫・信用組合・政府系金融機関……。山梨県内にも色々とありますね。
当事務所が、中小の建設業者さんにオススメしているのは、
『日本政策金融公庫甲府支店・山梨中央銀行・甲府信用金庫・山梨信用金庫・山梨信用組合・都留信用組合・JAバンクのうち、3~4つ程度の銀行と付き合うこと』です。
なぜ複数の銀行との取引を勧めるのかというと、以下の理由によります。
- それぞれの銀行に対して、求める役割が違うため。
- 交互に融資を受け、安定した資金繰りを図るため。
- 銀行同士を競争させ、金利を下げるため。
なお、銀行員は建設業の資金繰りをあまり分かっていないケースが多いです。
「工事進行基準の3要素って?」「工事損失引当金を計上する場合は?」
といった質問をしても、おそらく答えられないでしょう(人によりますが)。
銀行も人員削減を進めているため、1人の銀行員が担当する企業数は増えています。
色々な業種を担当しているので、建設業の知識に詳しくなるのは困難です。
(これは、税理士さんにも同じことが言えます)
銀行側の知識不足のために、融資を断られた社長さんもいらっしゃいます。
融資を申し込むには、建設業界や自社の状況を分かりやすく説明する必要があります。
銀行員は書類文化ですから、確実な根拠に基づいたデータも用意すべきです。
つまり、それらを「経営計画書」という形でまとめ、提出するのが最も適切です。
松本行政書士事務所は、建設業支援の専門家です。
「経営計画書作成のサポート」「銀行交渉のアドバイス」をすることができます。
どうぞお気軽にご相談ください。